ドラえもん短編映画感想、前回は大人のび太の話だったが、今回は子供のび太の話である。
家出をしたのび太が、過去に遡り自分が生まれた頃の両親に出会うというお話。
冒頭から一貫して描かれていた一本の木。ファミリーツリーとしての野比一家の軌跡と一本の木をなぞらえて、ラストの父を中心として寄り添う野比一家〈もちろんドラえもんも〉へと帰結する演出は見事。大山ドラえもんの母性がここぞというほど発揮されている。やっぱりドラえもんの安心感はこの母性だと思うの。
ドラマの背景には、過度なほど街並みが描かれている。古い家々が残る地区から区画整理された更地へ、過去に戻るとどぶ川にたもを下す子供たち、平屋の古い家々の遠くに立て掛けのビル群。変わっていく街並みとある一本の木を通して、この時代変わりつつあった家族の形とそれでも変わらない家族の絆を表現したのではないだろうか。
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