エウレカの憂鬱

音楽、映画、アニメに漫画、小説。好きなものを時折つらつら語ります。お暇なら見てよね。

【映画感想】「実写版BLEACH」杉咲花ちゃんのルキアはとても良かったが……

実写版BLEACHを観てきたのでその感想を書こうと思う。

 

まずブリーチとはなにかというと、ジャンプで連載をしていたバトル漫画である。略称は鰤。幽霊が見えるオレンジ髪の高校生黒崎一護がひょんなことから出会った死神の少女朽木ルキアに力を譲渡され、死神代行として虚とよばれる悪霊と戦う話である。通称オサレ師匠の描く洗練された線とスタイリッシュな名前のキャラたち、ファッショナブルな扉絵、そしておしゃれなポエム等に彩られた厨二心をくすぐられる絶妙なバトル漫画であり、そのオサレ感にやられて他ならぬわたしも初期の代行編・ソウルソサエティ編あたりまで楽しく単行本も集めていた。初期はギャグも結構面白かったしなにより作風が目新しかったのである。

集めた漫画も人にあげ、話を追わなくなって久しく、ごく最近無事大団円を迎えたと聞いた。

今や大した思い入れもないわたしが、ブリーチの実写化を観てみた感想は一言で言えばイマイチである。

 

以下若干のネタバレを含むので、承知の上で読んでいただきたい。

 

まずは良かった部分を先にあげてしまおう。

まずタイトルバックが大変良かった。映画タイトルに現代的な街並みと古い日本的な風景が入り乱れて映り込む様は、和風スタイリッシュなブリーチという作品にぴったりだし、この部分の劇伴も良かった。なんだか良映画が始まる予感がするワクワクのタイトルバックだった。ただし、ここが個人的にこの映画のピークだったが。

もう一つは朽木ルキアを演じる杉咲花がとても良かった。ビジュアル解禁時原作デザインとは似ても似つかないルキアに非難が殺到していたが、それがなんの、彼女の演技は凛としたルキアをよく表現していた。

少し原作より女性らしさがある演出もあるが、それは映画は映画として割り切れる範疇。意外にも殺陣が上手で、チャンバラマン役を多くこなす福士蒼汰よりも安定感があり堂に入っていた。(まあ、福士蒼汰は一護の演技なのかもしれないが)残念なのは後述する脚本のせいで後半お飾りのようになってしまったところだろうか。

アクションも無難だが普通に迫力がありアクション好きには楽しめるかもしれない。グランドフィッシャー戦は迫力あった。ただ長くてわたしは途中で飽きたけど。

 

さて本題に入ろう。

すでに文句がダダ漏れなのでお分かりだと思うが、以下はネガティブな感想しかないので不快に思う方はここで読むのをやめてほしい。

 

まずこの映画のどこがイマイチだったかというと、脚本、構成、演出の拙さに尽きる。

特に脚本の矛盾と演出・構成の下手さが目立つ。例えば山で戦っていいたはずの一護が突然街中でバトルしているシーンがあるが、これはバトルを派手にするのと、チャドや織姫を出すという二つの目的があったと思われる(しかも彼らはこの映画では大した役回りはない脇役なのでファンサービスか続編の布石)。この目的ありきで起こった大移動により、遠距離を戦いながら走ってきた不自然さが残ってしまっている。なぜならグランドフィッシャーは一護を喰うのが目的でしかも劣勢だったわけでもないのでわざわざ街中に逃げる必要はないし、一護が誘導したとしたらわざわざ人命を危険にさらした考えなしの馬鹿野郎になってしまうからである。ラストに至っては石田も刺されっぱなし、気絶した双子も山に置きっ放し、親父は術をかけられっぱしでやはり放置。ぱなし祭りである。

2回目の夢だったかな?という1回目と対になっているせっかくの演出が、しれっと復活している石田たちの不自然さのせいでもやっとさせられてしまう。

石田お前胸刺されてたやんけ、あ、四番隊が来て治療してくれたのかな?と補完するのは既読者ならともかく初見には、厳しい。映画では虚や死神の戦いは、理由はごまかせても現実に被害をもたらすという演出しかなされていなかったはずである。

また杉咲花の上手さやプロの早乙女太一の起用など戦闘シーンが売りなのだと思われるが、殺陣やCGはともかく、演出が実につまらない。

相手に向かって走りながら構えた刀が地面で火花を散らすなど、どこかで見た演出のオンパレードで新鮮味がない。

しかも序盤中盤の戦闘シーンはあっさりしていたのに、ラストバトルがまさかの緩急なしの三連戦、延々と続く修行シーンなど時間配分が幾分おかしく、間延びした印象になってしまっている。

ここをもっと短く、ブリーチらしく?スタイリッシュにまとめて、その分キャラクターの心情を掘り下げるなり別シーンを入れるなりすれば良かったのに。

また、キャラクターの内面はぱっと見ブレなく再現していたのに、後半の戦闘ではルキアはただ突っ立っているだけで役に立たないなどうまく脚本に組み込めていないのが目立ってしまっていた。(恋次も負けたあと空気だった)。ここももったいなかった。

 

とにかく主軸がぼんやりしていて起承転結がうまくできていない。

誰かを護るために戦う男・一護の成長にもっと主軸を置いて、原作通り喋るグランドフィッシャーとの対決をクライマックスにすれば少しは纏まったかもしれないし(地味になるけど)、興行を考えるなら人気キャラの白哉恋次を出すのは必須だったの思うので、そうなったらルキアと一護の確執と絆にもっと主軸をおけば良かった。いっそオリジナル展開でも良かっただろう。

 

ただし擁護するとしたら、ブリーチという作品を短い時間で映像化すると考えた時、どうこねくり回しても六番隊とグランドフィッシャーどちらも見所であるので削り難くなっている。つまるところブリーチは映画化に向かない作品だということである。

昨年末ファンを激怒させた鋼の錬金術師の実写版、短いクールにグズグズな構成で長編を詰め込んでファンを激怒させた封神演義の再アニメと同系統だ。

 

個人的に脚本演出構成以外で気になったのが、キャラビジュアルのブレである。

子供一護はなぜか黒髪なので、大人になったら染めたように受け取られてしまう。これはキャラのアイデンティティに関わる問題なので致命的な失敗である。また、アニメキャラ寄りの白哉恋次に対し、ルキア以下の登場人物はリアル寄りになっていて、どちらが悪いわけではないにしても実にバランスが悪い。まあ、ブリーチは見た目が特徴的な作品なのだからやはり割り切って全員コスプレしたほうがまだ良かった気がする(恋次を見ても絶対白けることは明らかだがこんな中途半端なのよりはマシよ)。

あとオサレ感を意識しすぎて、流行りのタイムラプスを多用したのとディストーションばりばりの英歌詞ハードロックを何度も流したところが逆にダサかった。君の名はじゃないんだからさー。

 

BLEACHということを忘れてシーンシーン切り取れば、それぞれそれなりにきれいに面白くできているのだが、なんというか無難にできてすぎていて毒にも薬にもならない印象だった。映像専攻の優秀な学生が、課題として出された内容を丁寧に作ったという感じ。

漫画実写化の批判を意識しすぎて踏み込めず中途半端になってしまったのか、あるいは実写化で儲かりたい上からの命令で義務的なモチベーションで作ったのか。やはりとにかくなにもかもが無難で、強烈な個性や勢い、外連味0の色味のない作風のせいで、脚本演出構成のアラが悪目立ちしてしまったという感想である。

つまりはイマイチだったのだ。

 

続編につながるしかないもやっとした終わり方だが、ハガレンジョジョ同様に続編は作られないだろう。

個人的には進撃の巨人(最悪)には及ばないまでも、ハガレンに追随するかな?くらいのイマイチさである。

またひとつ貴重な面白い漫画が無駄遣いされてしまった。

 

残念である。